ショパンについては病弱で、センチメンタルな曲を多く書いた作曲家というイメージが強いようですが、実際には、きわめて強い個性を持ち、独創的な構成力で後世の作曲家、ドビュッシーやワグナーにも大きな影響を与えた天才的な作曲家なのです。その美しいメロディーが聴くものを魅了してやまないのは、それが研ぎ澄まされた感性に裏打ちされているからなのです。ショパンの小品は日本文学に喩えればそれは和歌、俳句の世界です。
洋の東西を問わず、ショパンの生涯と作品について数え切れないほどの出版物があります。今更屋上屋を重ねるのは愚劣の極みでしょうし、一アマチュアピアニストが偉そうなことをいってもバカにされるのが落ちだとは思いますが、それでも半生の間ショパンの音楽に慣れ親しんできた私としては、随分伝記を読んだけれどショパンって本当はどんな人だったのかもっと深く知りたいし、又私なりにその作品の魅力に溺れて下手は下手なりの演奏に自己陶酔しているのです。 幸いショパンは自身の演奏でもテンポは自由に変えていたようですし、弟子にはゆっくり弾くことを勧めてもいたのですから、私も弾ける程度の速さで弾いて楽しんでいます。
クラシック音楽の愛好家の方々の多くはオーケストラやオペラに人気があるようですね。オーケストラでは弦楽器、管楽器で音質も違い、また同じ弦楽器の仲間でもヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと音域も違うし響きが違う。管楽器でも木管、金管で役割も違うし、楽器によって音色が違う。さらに打楽器も入って多彩な効果が得られます。コンサートに行けば指揮者の個性的な振りが楽しめるし、大きな音響で圧倒されるのも喜びの一つでしょう。
これに対して、ピアノはいわば均質の音色だし、オーケストラほどのダイナミズムはない。ピアノリサイタルでは一人がピアノに向かって没入している姿しか見られません。随分地味なものです。その代わり独りで音楽を創りあげることが出来るという点では他に類を見ません。ピアノという楽器が19世紀になって大きく改良され、速いパッセージを楽に弾けるようになったお陰で、ヨーロッパではリスト、タールベルグなど優れたピアニストが輩出しました。彼らは驚異的なテクニックと大仰な身振りで大向こうをうならせました。彼らの目指したのはオーケストラに対抗する事だったのでしょう。
この時代に生まれたショパンはこのような軽薄な風潮には背を向けました。幼い頃からオペラが好きだった彼はピアノで歌うことを追求したのです。大声を張り上げるのではなくデリカシーを尊重したのです。そのため、大きなコンサート会場では微妙な表現を聴き取って貰えないことを知っていたから、そして当時は音楽を聴きながら私語が絶えず、その煩わしさに耐えられなかったからショパンは余りコンサートを開かなかったのです。病弱だけが理由ではありません。
ショパンは即興でも天才的だったようです。しかしその楽想を楽譜に残すとなると苦しみ抜きました。作曲家として完全主義者だったのです。それ故にこそ彼の作品は今に至るまで光彩を放っています。その魅力を多くの音楽愛好家の方々と分かち合いたいと思ってこのサイトを作りました。また、ショパンを愛する方々はその人となりにも興味をお持ちでしょうから、私が集めた情報を元に人間ショパンを浮き彫りにしようと試みました。
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